医療広告ガイドラインとは

すべての医療機関のホームページには、厚生労働省によってガイドラインが定められていることをご存知でしょうか?
医療行為は人の健康や命に関わります。そのため、看板や折り込み広告などの「広告」は記載していい内容が「医療法」によって厳しく定められています。ところが、インターネット上のホームページはこれまで「広告」とは見なされず、長らくグレーゾーンとされてきました。

しかし、2012年に厚生労働省は「医療機関ホームページガイドライン」を作り、医療機関のホームページの在り方を提示。その後もインターネット情報が原因となって引き起こされた消費者トラブルが後を絶たないため、2018年6月から、医療機関のホームページは「広告」とみなされています。

現在のガイドラインについて

2017年の医療法の改正とともに、医療に関する広告規制のルールが大きく変わりました。大きな変更は、医療機関のホームページが広告として扱われるようになったという点です。広告規制に従わず、違反した場合には、最悪の場合、医院の閉鎖処分や6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が下されます。

今後のWEB業界の対応

2017年6月14日、医療法の改正が行われたことにより、医療機関のホームページでも虚偽・誇大等の不適切な表示を禁止し、中止・是正命令及び罰則を課すことができるよう措置を講じることとなりました。

すでにに2017年8月24日より「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業」も開始され、ホームページの監視体制は強化されています。
その一方で、条件を満たせば広告可能事項の限定解除が可能になることから、以前よりも表現の範囲が広がったともいえます。

2018年6月以降

医療法上の広告規制(折り込み広告、CM、看板、 ホームページ等)
虚偽禁止 (罰則あり)
誇大広告の禁止
基準違反への 中止・是正命令 (命令を無視した場合には罰則あり)
広告等可能事項を限定 (限定は部分的に解除する可能性もあり)

医療機関のホームページで避けるべき表現とは

「医療機関ホームページガイドライン」では、ホームページに記載すべきではない事項を例示しています。それぞれ「虚偽」「薬機法違反」「薬事法などの法違反」に分けられます。

虚偽

例1 加工・修正した術前術後の写真やイラストの掲載
あたかも効果があるかのように見せるために加工・修正した術前後の写真やイラストなど。誇大、または虚偽となります。

例2 「当院では、絶対安全な手術を提供しています」「どんなに難しい症例でも必ず成功します」
絶対に安全な手術を行うことは医学的に困難なため、虚偽となります。

例3 「一日で全ての治療が終了します」(治療後に定期的な処置が必要な場合)
定期的な処置が必要であるのに、全ての治療が1日で終了すると誤解させるため。

例4 「○%の満足度」(根拠や調査報告の提示はなし)
データの根拠を明らかにせずに、結果と考えられるもののみを示すことは「虚偽」として扱われます。また、調査対象が非常に限られていたり、謝礼を支払って誘導された調査結果も「虚偽」となります

例5 「当院は、○○研究所を併設しています」(研究実態はない)
法第42条の規定に基づき、研究の実態がない場合は「虚偽」として取り扱われます。

著しい誇大①他との比較などによって優良性を示そうとするもの

例1 「○○の治療では、日本有数の実績を有する病院です」「当院は県内一の医師数を誇ります」など
自らの医療機関が他の医療機関よりも優良である旨を示す表現。

例2 「芸能プロダクションと提携しています」「著名人も○○医師を推薦しています」など
芸能人等が受診している旨の表現。事実であっても他の医療機関よりも著しく優れているとの誤認させやすいため。

例3 「芸能プロダクションと提携しています」「著名人も○○医師を推薦しています」など
芸能人等が受診している旨の表現。事実であっても他の医療機関よりも著しく優れているとの誤認させやすいため。

著しい誇大②内容が誇大、医療機関にとって都合が良い情報などの過度な強調

例1 「知事の許可を取得した病院です」
病院が都道府県知事の許可を得て開設するのは当然であるのに、特別な許可を得たかのように誤認させるおそれがあるため。

例2 「医師数○名(意図的に古い情報などを掲載)」
実態に即した人数に随時更新するよう努めるべきであること。

例3 「○○学会認定医」「○○協会認定施設」(活動実態のない団体による認定)
客観的かつ公正な一定の活動実績が確認される団体によるもの以外。医療機関関係者自身が実質上運営している団体や活動実態のない団体などによる資格認定や施設認定が対象となります。

例4 「○○センター」(医療機関の名称または医療機関の名称と併記して掲載)
救命救急センター、休日夜間急患センター、総合周産期母子医療センターなど、一定の医療を担う医療機関である場合や、都道府県等が認める場合以外は、誇大となります。ただし、患者向けに病院内の掲示で「透析センター」などと掲示したものを掲載することは可能です。

例5 医療機関に都合のいい体験談の強調
意図的に取捨選択したり、謝礼などによって誘導した感想の掲載は避けましょう。

例6 「無料相談をされた方に○○をプレゼント」
来院者や受診者全員にもれなくプレゼントするのであれば、総付景品という位置づけにはなりますが、医療と直接関連づけることは避けましょう。

著しい誇大③早急な受診を過度にあおる表現、または費用の過度な強調

例1 「○○の治療では、日本有数の実績を有する病院です」「当院は県内一の医師数を誇ります」など

例2「ただいまキャンペーンを実施中」、「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」、「○○100,000円50,000円」、「○○治療し放題プラン」、「顔面の○○術 1か所○○円」

④科学的な根拠が乏しい情報に基づいて国民・患者の不安を過度に
あおり、受診や特定の手術・処置などに不当に誘導するもの

例1 「○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります」、「こんな症状が出ていれば命に関わりますので 今すぐ受診ください」
特定の症状についてのリスクを強調し、医療機関への受診を誘導する表現。

例2 「○○手術は効果が高く、おすすめです」
特定の手術・処置などの有効性を強調して、その手術などを受けるように誘導する表現。

例3 「○○手術は効果が乏しく、リスクも高いので、新たに開発された○○手術をおすすめします」
特定の手術・処置などのリスクを強調して、それ以外の手術などへ誘導する表現。

⑤「薬事法」「健康増進法」「不当景品類及び不当表示防止法」
「不正競争防止法」の違

例1 「病気から回復して元気になる姿」をイメージさせるイラストや写真
回復を保証しているような印象を与えるため、“景品表示法”違反で行政処分の可能性があります。

今後ホームページを作る際に気をつけること

絶対に掲載してはいけないこと

前述した通り「虚偽」「著しい誇大」「薬機法などの法違反」は掲載しないよう注意しましょう。
ホームページ上の文章はもとより、ホームページに掲載するイラストやデータも虚偽・著しい誇大・薬機法などの法違反にあたっていないかどうかの確認が必要です。
特に「ガンが治る」「若返る」などの文章・写真・イラストは、法違反として行政処分の対象となる可能性があります

代表的な避けるべき表現
虚偽
著しい誇大
薬機法などの法違反

掲載できるボーダーライン

これまで行政指導はあっても罰則が適用されなかったホームページの内容も、「医療機関ホームページガイドライン」をもとに規制対象となっています。
「医療広告ガイドライン」の内容を理解することで、ホームページに掲載できるボーダーラインを把握しておきましょう。

詳しくは厚生労働省ホームページをご参照ください

特に注意が必要なものについては、以下の通りです。

【医療機関ホームページガイドラインより】
4 ホームページに掲載すべきでない事項
(3)内容が誇大なもの又は医療機関にとって都合が良い情報等の過度な強調
1.任意の専門資格、設備認定等の誇張又は過度な強調

医療機関の広告に掲載できる資格は、医師56種、歯科医師5種(2017年9月現在)のみとなります。(具体的な資格名は厚生労働省HPをご参照ください)
歯科医師であれば、「口腔外科専門医」「歯周病専門医」「歯科麻酔専門医」「小児歯科専門医」「歯科放射線専門医」となります。

2.手術・処置等の効果・有効性を強調するもの

撮影条件や被写体の状態を変えて撮影した術前術後の写真等を掲載することは、誤解を与える可能性があるため、規制の対象となる可能性があります。さらに、あたかも効果があるかのような印象を与えるイラストも避けましょう。
ビフォーアフターの写真を載せる場合は、治療方法・治療期間・治療費・リスク・デメリットなどのデータを明記するようにしましょう。

3.医療機関にとって便益を与える体験談の強調

患者さんからの治療や診療についてのクチコミは規制の対象となる可能性があります。

(7)医療法以外の法令で禁止されるもの
1.薬事法

「薬機法(旧薬事法)」では、承認前の医薬品・医療機器の名称、効能・効果、性能などについての広告が禁止されています。 そのため、歯科で扱う「インビザライン」「3mix法」「レーザー」などは、その旨や入手経路、国内の同一医薬品の有無、諸外国における安全性の情報を明示し、厚生労働省ホームページの「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページを情報提供すること。

ホームページに掲載すべきこと

今後、ホームページにはどのような内容を、どうやって記載すればいいのでしょうか。
「医療機関ホームページガイドライン」の「5.ホームページに掲載すべき事項(自由診療を行う医療機関に限る。)」を理解しておきましょう。

【医療機関ホームページガイドラインより】
5.ホームページに掲載すべき事項(自由診療を行う医療機関に限る。)
(1)通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項

自由診療は保険診療と異なり、医療機関によって治療内容や医療費が大きく変わります。
そのため、ホームページガイドラインでは、
通常必要とされる 治療内容、平均的な費用や治療期間・回数を掲載し、国民・患者に対して適 切かつ十分な情報を分かりやすく提供すること。平均的な費用が明確でない 場合には、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額までの範囲を示す などして可能な限り分かりやすく示すこと。 とされています。

(2)治療等のリスク、副作用等に関する事項 自由診療に関しては、
そのリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく 掲載し、国民・患者に対して適切かつ十分な情報を提供すること。
が必要です。
さらに記載方法も小さい文字にしたりリンク先だけに掲載するのではなく、わかりやすく記載することが重要です。

日本ビスカでの今後の対応について

日本ビスカでは、「改正医療法」や「医療機関ホームページガイドライン」を踏まえて、これからの規範に準じたホームページ制作を心がけてまいります。
ただし、規制についてはさまざまな解釈があり、、さらに自治体によって規制基準が異なることも珍しくないため、大手企業であっても指摘を受けながら修正を繰り返している状況です。

万が一、当社がホームページの保守をお引き受けしている医院様のもとに、都道府県の担当者から是正命令の電話やメール、書面をお受取りされた際には、すぐにご連絡をお願いいたします。日本ビスカでは、ご連絡をいただき次第すみやかに対応いたします。そうでなくても不安に感じられることもあるかと思いますので、自院のホームページが医療ガイドラインに即しているかご確認されたい場合は、下記のフォームにてお問い合わせいただけますと幸いです。

お問い合わせはこちら

※フォームにて選択いただきます、今後の弊社の対応について詳しくは下記をご参照ください。

1.今後の規制の流れに沿って、弊社に一任したい
(業界全体や他院の動向などをふまえながら、タイミングをみて適正と思われる修正をかけさせていただきます)

2.なるべく今のホームページの内容を残したいので、相談したい
(医院様のご希望をうかがいながら、医療広告ガイドラインをクリアできる表現を探るお手伝いをさせていただきます)

3.ガイドラインを遵守したものに即時に修正したい
(医療広告ガイドラインを遵守して修正させていただきますが、自治体によっては是正命令を受ける可能性もありますのでご了承ください)

ホームページ制作サービス

ホームページは、クリニックの資産として育てていくことができるものです。まずホームページを開設することは、インターネットから集患するうえで欠かすことはできません。

ビスカでは、公開までのスケジュールやニーズ、ご予算に合わせて柔軟に対応できるホームページ制作プランを3つご用意しております。